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ストレスマネジメント

現代社会においてストレスという問題は個々の企業や事業所だけではなく、いかにストレスをコントロールしていくか=ストレスマネジメントは社会全体の課題となってきていると言えるでしょう。2020年は世界的な新型コロナウイルスの大流行に伴い、ただでさえストレス要因が多い中、今まで当たり前だったものが当たり前でなくなり、ストレス過多といった状況ではないでしょうか?

ストレスの実態についてチューリッヒ生命が毎年全国1,000人のビジネスパーソンを対象に調査を行っておりその結果が発表されています。

2020年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査

2020年においてはストレスを感じる原因の1番は収入(経済面)」(22.4%)となっており、新型コロナウイルスの影響による収入減がストレス要因として色濃く現れているのかもしれません。過去4年間でも収入がストレス要因TOP5に入ったのは初めてで今年は特異な年となっています。

2番「仕事の内容」(21.4%)、3番「上司との人間関係」(14.6%)となっています。これらは過去3年間においてもTOP5に入っており日本のストレス3大ファクターと言えるかもしれません。

次に気分障害などのストレスが原因となる患者数について見てみると過去10年で右肩上がりに増えています(10年で社会的背景も変わってきたため受診者数が増えたという要因も大きいかと思われます)。こちらに関してはに東京大学の川上憲人教授らが2002-2006年(平成14-18年)に実施した面接調査によると、うつ病(大うつ病)の生涯有病率は6.2%。2013-2015年(平成25-27年)に行われた第2回調査では5.7%となっており、受信件数の増加が患者数増加につながっているのではないかと推測されます。

ストレスマネジメントにおける取組

具体的にメンタルの問題は社会にどのような影響をあたえているのでしょうか?

平成29年11月1日から平成30年10月31日までの期間において
メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は6.7%
退職者がいた事業所の割合は5.8% と報告されています。
1年間で20人に1人と考えると決して少ない数とは言えないと思えます。

H30年度厚生労働省労働安全衛生調査

そのような状況でメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は平成30年で59.2%となっており、その中でもストレスチェックが62.9%となっています。

ここは少し分かりにくいのですが
「ストレスチェックをやっている=メンタルヘルス対策に取り組んでいる」と捉える事業所と

「ストレスチェック+αをやっている=メンタルヘルス対策に取り組んでいる」と捉える事業所があったのかもしれません。まずはストレスチェックを実施することで現状を把握する。ということが第一歩といえるのでしょう。

ストレスチェックを実施した企業の中で結果分析し具体的な対策立案まで行った企業は80.3%となっており対策の内訳としては上位から
・残業時間削減、休暇取得に向けた取組
・人員体制・組織の見直し
・業務配分の見直し
・職場の物理的環境の見直し
といった形でストレスという問題に対していかに対策すべきか前進する試みが始まったところと思えます。

問題点

実態調査を行い、ストレス測定の定着率を図り現状を可視化する。ぼんやりした状態だった問題が数値として見えるようになり次に何をすべきかを考え、試行し始める段階になろうとしています。

ただ、現状は例えて言うならば
・熱が出ている、咳も出ている(事象)
・おそらく風邪だろう(推測)
・とりあえず寝ておく(対策)というレベルともいえるかもしれません。

いよいよ本当に悪くなった(出社できなくなった)という段階で専門医のところに行こうという次アクションにつながっています。

風邪をひかないようにするために
・冷やさないようにする
・栄養価の高いものを食べる
・手洗いをする といった予防が行われているように、メンタルに関しても悪くなる前に何をすればいいのかといった予防の領域が今後求められることかもしれません。