テクニウム世紀、霊長類のニンゲンが地球を支配する時代の次に到来するとされるテクノロジーが進化し相互に結ばれるとされる時代。その中で人類はいかにテクノロジーと融合・共生をしていくのか。
テクノロジーと人類の融合と聞くと、コンピューターを頭に埋め込んだり、脳と連動して動く義手や体内を治療するナノマシン。といったもう少し先の時代と思うかもしれない。が、既に人類はテクノロジーと融合を始めており、例えばイヤホンを通じてクラウド上のジュークボックスと接続して音楽を楽しみ、スマートフォンというタッチ型ディスプレイを通じて世界中の知識に常時アクセスし、遠く離れた場所の人であってもコミュニケーションをとり一緒に仕事をすることを当たり前とする時代になっている。融合とはどこかのタイミングでいきなり始まるのではなく、いつの間にか日常にとして浸透してきているのだ。
三軒茶屋のシアタートラムで2021年7月22日~25日に開催されたダンスカンパニーBaobabの公演「アンバランス」はテクニウム世紀における身体(人間)について考えさせられる演目であった。
巨匠リドリー・スコットの『プロメテウス』や『エイリアン: コヴェナント』を彷彿とさせる。2010年代のSF映画の世界観のなかで舞踊が繰り広げられ知性と肉体を併せ持つ人類の身体表現(ダンス)と肉体のない知性のみの存在:AIの共存。その先はユートピアなのかディストピアなのかという問題提議をされているように感じた。