アート

身体表現とテクノロジーの融合。その先はユートピアかディストピアか

コンテンポラリーダンス。定義が難しいですけど、とりあえず現代舞踊とするとして、興味はあるけどあまり縁がなかった芸術領域でした。

ようやく縁あってダンスカンパニー Baobabの公演を観に行きましたが、身体とは?テクノロジーとは?徐々に融合を始めている二つの将来について考えさせられ、2021年現在における人類のraison d’etre(存在価値)を突きつけられました。

テクニウム世紀、霊長類のニンゲンが地球を支配する時代の次に到来するとされるテクノロジーが進化し相互に結ばれるとされる時代。その中で人類はいかにテクノロジーと融合・共生をしていくのか。
テクノロジーと人類の融合と聞くと、コンピューターを頭に埋め込んだり、脳と連動して動く義手や体内を治療するナノマシン。といったもう少し先の時代と思うかもしれない。が、既に人類はテクノロジーと融合を始めており、例えばイヤホンを通じてクラウド上のジュークボックスと接続して音楽を楽しみ、スマートフォンというタッチ型ディスプレイを通じて世界中の知識に常時アクセスし、遠く離れた場所の人であってもコミュニケーションをとり一緒に仕事をすることを当たり前とする時代になっている。融合とはどこかのタイミングでいきなり始まるのではなく、いつの間にか日常にとして浸透してきているのだ。

三軒茶屋のシアタートラムで2021年7月22日~25日に開催されたダンスカンパニーBaobabの公演「アンバランス」はテクニウム世紀における身体(人間)について考えさせられる演目であった。

巨匠リドリー・スコットの『プロメテウス』や『エイリアン: コヴェナント』を彷彿とさせる。2010年代のSF映画の世界観のなかで舞踊が繰り広げられ知性と肉体を併せ持つ人類の身体表現(ダンス)と肉体のない知性のみの存在:AIの共存。その先はユートピアなのかディストピアなのかという問題提議をされているように感じた。

全体としては3.5部で構成されており

1部:AIを模したと思われる人工音声を基に、11人の男女による身体表現

2部:往年のミュージカル「コーラスライン」を思わせる表現者とインタビューアーのやり取り、からの90年代を思わせる明るいワチャワチャ感

3部:いわゆるコンテンポラリーダンスを演じながら顔認証をイメージさせるキャプチャー映像との共演


ここでいったん終わったかに見せて
2000年代を思わせる大音量での盛り上がりパフォーマンス.

撮影:大洞博靖

緩急織り交ぜながら、複数の時間軸を飛び回ったダンス表現は、遠い過去に対するノスタルジー、少し前の過去の振り返ったうえで、今後の2020年代がどのような10年間になるかを考えさせる演目であった。

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