本展、作家ごとに展示室が割り当てられ、6人の異なる世界観を時間を跨いで鑑賞する形となっていました。個々には書ききれないのです一番引っかかったのは村上隆でです。
村上隆を教科書的に書くと「日本のオタク文化やサブカルチャーを発送の源泉として、日本初の美意識を世界に発信」とかになるのかと思うのですが、今回出品されていた「原発を見にいくよ」という8分少々のショートムービーは見ていて離れられなくなり、日本語版と英語版で3回転ぐらい見入ってしまいました。
「原発反対のデモに参加してみたけどよく分からなかったので、福島原発を見に行って意外と楽しかった。デモにはもう参加しないで他の物を見に行こう」というストーリーですがポップな音楽と画面の中で【デモの争乱とカップルのドライブ】【光り輝く東京の夜景と雑然とした下町風景にあるシェアハウス】【人類史上まれにみる事故の福島原発と『おいしいもの食べられてよかったね♪』といった日常】あらゆる対比が映像の中で繰り広げられながら進行していく。作品のメッセージ性については解釈がいろいろできるため言及しませんが、森美術館に設けられたキラキラした展示室で見るからこその価値があるともいえるビデオ作品です。
また、今回は村上隆の代表作とも言える《Ko²ちゃん》《マイ・ロンサム・カウボーイ》《ヒロポン》が展示されていました。ミニサイズは何度か目にしたことがあったのですが等身大は初見。迫力には驚かされます。ご本人のTwitterによると《マイ・ロンサム・カウボーイ》《ヒロポン》は保険の関係でもう日本では観られないと思う。だそうです。