アート

オラファー展に見る西洋思想における四大元素

東京都現代美術館で2020/9/27まで開催予定の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」に行ってきました。

もともとは3月から開催予定だったのが新型コロナウイルスの影響で3か月後ろ倒しに

サステイナブルな世界実現ということで気になっていたけどなかなか行けなかったのですがなんとか会期終了に合いました。

2000年ごろから(90年代からともいわれるが)コンピュータやセンサー、ネットワークなどのテクノロジーを活用したメディアアートと分類される作品が生み出されてきた。
今回の展覧会に関して予備知識なしで行ったためにもその流れと思い込んでいたのだが、根底思想としてメディアアートとは真逆ともいえるよりよりプリミティブな思想に基づいており良い意味で裏切られたともいえる。

今回の展示~オラファーの作品群~の根底に流れているのは四大元素(この世界を火・空気、水、土から構成されるとする概念)と言えるだろう。
日本人においてはなじみの薄い概念かもしれないが古代ギリシアから19世紀のヨーロッパまで脈々と受け継がれた思想であり近代以降において科学として顧みられることはなくなったが精神世界においてはユングが再評価をするなど現代においても西洋思想において地下水脈のように流れる概念だろう。

オラファーの巧いともいえる点は「現代テクノロジー」を用いて「プリミティブ」をアートとして昇華させている点があるだろう。今回出品されていた「おそれてる?」は3つの円形のガラス板がゆっくり回転をしているのだが、その動きは見るものに空気の流れによって回転しているかのように錯覚させ目に見えない空気と光で作り出される幻影かのように観客を引き込んでいた。
その他にも素材としてはシンプルな光・空気・水・土(四大元素)を用いながら随所で先端テクノロジーをスパイスのように使うことで巨大な万華鏡の中に迷い込んだような幻影を作り出していた。

展示室内にゴロンと置いてあったために素通りされていたが氷河を3Dプリンターで出力した作品があった~オラファーの場合は実物の氷河をパリの街に持ってくることもあるらしいが~こちらなどは「なぜここに氷が?いや、これは氷ではない??何なのだ???」という自然物をテクノロジーで精巧にコピーしたところから生まれる不思議な感覚(こちらに関しては実際に触れて冷たくないという体験も含めた展示がよかったように思えるが)はオラファー自身も言っている「体験そのものも含めた作品」が結実化したものと言えるだろう。

余談ではあるが本展覧会は「映える写真が撮れる」ということで、多くの女性の来館者があったと聞いているが学芸員の長谷川氏の意図に乗ったのか、はたまた思わぬ効果だったのか。ということに関しては聞いてみたいことでもある

掲載写真は東京都現代美術館の本展のサイトから借用しました。
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